Q&A|日々の育て方

Q&A

冬の管理はどうしたらいいの?

盆栽を健やかに育成するためには「四季」を感じさせてあげることが大切です。四季の中でも特に冬は、降雪があったり厳しく冷え込んだりと管理の仕方が難しい季節と感じるかもしれません。

ですが、ポイントを押さえればそれほど難しいことはありませんので、しっかり対策をして、植物を健康的に冬越しさせましょう。それでは下記で解説していきます。

「冬越し」の方法は樹種によって違います。

植物を健康的に冬越しさせるためには、その木の性質に合わせて環境を整えてあげることが大切です。大まかに分類すると、下記の3タイプに分かれます。それぞれの石木花図鑑でも解説していますので参考にしてみて下さい。

〇落葉樹(総じて寒さに強い)雪だるま×3

・ヤマモミジ・桜・梅・シデ・イチョウ・ブナ・ヤマドウタン・カエデ・ケヤキ・シロヤシオ・コフジ・アオダモ…etc

〇常緑樹(寒さに強いタイプ)雪だるま×3

・黒松・赤松・ゴヨウマツ・ヒノキ・ヒバ・シンパク・エゾマツ・モミ…etc

〇常緑樹(寒さに弱いタイプ)雪だるま×2~1

・白鳥花・香丁木・キンズ・クチナシ・イソザンショウ・チャノキ…etc

冬越しの方法(寒さに強い植物達)雪だるま×3

寒さには強い木々たちはしっかり冬を体験させる必要がありますが、特に小さい鉢は用土が凍結しないよう、寒風や霜から保護できるムロや半屋内(寒い場所)などで管理します。最低でも5℃以下の環境をしっかり体験することで春に健康的に芽吹き、美しい新芽を出しやすくなります。

〇ムロ入れのタイミング

具体的には(地域により差がありますが)10~11月頃には屋外環境で寒さに慣れさせておき、12月中旬~末頃には気温の低い屋内に取り込むか、ムロにしまいます。目安は外気温が5℃以下になってきたころ。

※特に長い期間、室内で鑑賞していた木を急激に冷やすと気温差によるショックで傷んでしまいます(寒害)。なので日ごろから屋外に出す時間を設けて外気温に慣らしておく必要があります。ちなみに、そうやって外気の冷え込みを体験させた方が紅葉や黄葉も美しくなります。

〇ムロとは、冬越し用の場所です。

「ムロ」とは植物をしまい込む場所のことですが、これには発泡スチロール等を用いると便利です。また市販の小さなビニールハウス等も安価で使い勝手が良いですが、場所を取るので複数の鉢を持っている方向きでしょう。数が少ないなら蓋ができる収納ケースなどでも十分です。(東北や北海道では発泡スチロールなど保温性のあるものがオススメ。または屋内の寒い場所へ。)

※ムロは冬の乾燥した空気から保護して寒害を防ぐ効果があります。

ムロ入れした場合は、少なくとも2~3日に1回は中の様子を確認しましょう。冬は用土が乾きにくくなりますが、放っておくと乾燥しすぎる可能性があります。また、日が照っているとムロの中が温かくなりすぎて害がでてしまいます。天気のいい日の日中は常時フタや幕を開けておくようにしましょう。新鮮な空気を入れることで、カビや病気予防にもなります。

※日の当たらない環境においておけば、ムロ内の温度は上がらないので蓋を開ける必要もなく、温度管理の難しさはなくなります。それでも定期的にチェックはしましょう。

※なお、必ずムロ入れする必要があるかというと、そうでもありません。ベランダやバルコニー、軒先など目の届くところでこまめに状況が見れるのでしたら、そうした場所で管理してもいいです。しかし乾燥した寒風が吹くような地域ではムロ入れをオススメいたします。

〇屋内の寒い環境で越冬させる場合

屋内で越冬させる場合は、暖かいところではNGです。暖房の効いていない場所(例えばエントランスや、ガレージ、気温の下がる窓辺など)少なくとも5℃以下の環境で寒さを体験させてください。なお、乾燥に注意して水管理をしましょう。

〇ムロ出しのタイミング

3月末~4月以降の外気温が暖かくなった頃に屋内やムロから出しましょう。(霜が降りなくなった頃が目安です)いつまでもムロに入れておくと過度に温まるので気をつけましょう。また、ムロ出し後も冷え込みの厳しい日や、霜が降りるようなときはムロや屋内へ一時的に避難させましょう。

屋内で越冬させた場合は3月~4月頃から徐々に日当りの良い場所へ移し、芽吹きを促しましょう。

冬季間も鑑賞したい時は…

「冬を体験させましょう」という事ではありますが、梅や木瓜、長寿梅など早春に花を咲かせる木々は目の届く場所で鑑賞したいもの。また、落葉した姿も鑑賞したいという事があると思います。そうした冬の木々を鑑賞する時は「長期間、暖かい場所で管理しない」そして「暖かい屋内での鑑賞期間は1週間まで」という点に注意いただければ大丈夫です。また、屋内でも肌寒い場所で楽しむ分には植物にとってストレスも少なくなりますし、そうした寒い所で開花すると花期も長く楽しめます。また、寒い場所でしたら鑑賞する期間が1週間を超えても特に問題ありません。

冬越しの方法(寒さにやや弱い植物達)雪だるま×2

寒さにやや弱い木は、寒風に晒して越冬させない方が良い木です。
屋外での越冬も十分可能ですが、発砲スチロールを活用したり、小さめのビニールハウスを活用するなどの工夫が必要。

また、屋内で越冬する場合は暖房の効いていない部屋や、玄関など気温の低い環境を推奨いたします。氷点下でもさほど問題ありませんが、おおむね10℃以下~0℃くらいの環境で越冬させると理想的です。

冬越しの方法(寒さに弱い植物達)雪だるま×1

寒さに弱い木というのは、自生地が比較的温暖な地域の木々です。屋外に出してしまうと最悪枯れてしまうこともありますので注意しましょう。基本的には屋内で越冬させます。

屋内越冬させるときの注意点は下記の通りです。

〇できれば暖かい部屋に常時置かない。(鑑賞時はOKです)

常時暖房が付きっぱなしの部屋は、あまり好ましくはありません。できれば少し肌寒いくらいの環境で季節を感じさせてあげた方が元気に育ちますし、花の咲く木であれば翌春に花を咲かせやすくなります。しかし、「日中や夜間は人が不在で気温が下がるお部屋など」でしたらそれほど気にしなくても大丈夫です。また、温暖な気候を好む植物は常時暖かくても問題ありません。※詳しくは石木花図鑑をご参照ください。

おおむね15℃~5℃くらいの環境が理想です。

〇エアコンや暖房の風に当てない。

エアコンや暖房の風が直接当たるような場所は絶対にNG。過度に乾燥して植物が傷んでしまいます。窓辺など、日当たりのよいところで育てましょう。

樹種にあわせて、最適な冬越しを。

少し難しく感じるかもしれませんが、実際にやってみるとそうでもありません。冬を越すための「場所」さえ整えてあげれば元気に越冬できますので、ポイントを押さえて植物達を健やかに育成しましょう。