紫陽花の
八重咲く如く
弥(や)つ代にを
いませわが背子
見つつ思(しの)はぬ

万葉集巻四 - 橘 諸兄

ヤマアジサイ

縁が鋸状のやや大ぶりな葉。
秋には紅葉します。
中央に花が咲き、その周りを装飾花が彩ります。
花後に実がなりますが、鑑賞には向きません。翌年も花を楽しむためには剪定が必要です。
耐寒性
水やり
日光
肥料
四季を彩る紫陽花(アジサイ)の花は日本の風物詩として古くより日本人に愛されてきました。山紫陽花(ヤマアジサイ)は通称ガクアジサイとも呼ばれる原種に近いアジサイです。華やかさや豪華さでは園芸品種の大ぶりなアジサイに譲るものの、より自然な魅力があり、その可憐な花姿や小ぶりな樹形から人気が高まりつつあります。小ぶりな樹形の山紫陽花は鉢植えにも最適で、上手にお世話すると毎年美しい花を咲かせてくれます。

「藍姫」は美しい藍色の花が特徴。他にも、白い花が紅色に変化する「紅」など、多様な品種があります。
ヤマアジサイの育て方

置き場所

風通しのよい半日陰の場所を好みます。寒さには強いのですが、暑さは少し苦手です。夏は直射日光を避けた半日陰か明るい日陰で管理します。

屋外の場合

基本的に屋外管理が理想です。柔らかな風や、優しい雨は植物を十分にリフレッシュさせてくれます。夏は日差しが強く乾きの原因となるので注意が必要です。

「春・秋」

日当たりと風通しの良い環境で育成しましょう。

「夏」

直射日光は葉焼けの原因になりますので、明るい日陰や半日陰で育てます。よしずなどを用いて涼しい環境を整えてあげるのも良いでしょう。ヤマアジサイは水を好むので乾燥は大敵です。どうしても乾いてしまうときは日陰で腰水で育てる方法も有効です。

「冬」

寒さには強い樹木です。しっかり休眠させてあげないと翌年花を咲かせませんので、寒い場所で冬を体験させてあげましょう。そのまま屋外管理でも問題ありませんが、寒風や霜からは保護するためにムロや半屋内(寒い場所)などで管理することをオススメします。大き目の発砲スチロールなどに入れて屋外管理し、寒風から守るもの効果的です。

屋内の場合

屋内で管理する場合、風通しの確保が重要になります。エアコンの風 が直接当たる場所は避けましょう。偏った乾燥状態になり、植物は傷んでしまいます。たまに外の空気に当てたり、雨に当てたりしてあげると植物はリフレッシュでき元気に育ちます。

「春・秋」

窓辺など、できるだけ日当たりと風通しの良い環境で育成しましょう。また、特に春は新芽が芽吹く大切な時期。よく日光に当てることで丈夫な葉になります。

「夏」

風通しの良い環境を確保しましょう。夏は暑さで蒸れやすくなるので出来るだけ風の通る環境で育成し、水切れに注意しましょう。また、出来るだけ屋外の風や雨に当てる時間を設けると元気に育ちます。

「冬」

できるだけ寒い環境で育成しましょう。冬を体験することは非常に大切です。少なくとも10月以降は、屋外に近い環境で管理して落葉を促し、休眠させて下さい。

水やり

用土の乾燥を嫌いますので水切れには注意しましょう。特に春~夏は乾きやすいのでたっぷりあげましょう。水やりの目安は、春秋は1~2日に1回、夏は1日1~2回、冬は2〜3日に1回です。しかし、乾いていないようなら無理に与える必要はありません。

暑い時期の葉水は、葉の乾燥防止や健康維持に効果的です。朝や夕方に霧吹き等で与えるといいでしょう。また、どうしても乾きやすい時期や外出時には腰水という方法が有効です。

みずやりのタイミング

腰水について

肥料

真夏を除く4〜10月は週に1回の頻度で液肥を与えます。

※バイオゴールドヴィコント564を基準にしています。その他の肥料を与える場合は説明書などを参考にしてください。

※置き肥の場合は4~5月、9~10月に月1回、固形肥料(油かすや骨粉等)を与えます。その際、コケは一度はがす必要があります。

病害虫

病害虫に強い樹木ですが、空気の乾燥が続くとハダニなどがつくことがあります。発生した場合は有効な薬品を散布します。また乾きやすい時期は葉水をしておくと予防になります。

木々の小話
  • 日本原産の紫陽花

    紫陽花と聞いて一般的に思い浮かぶのは丸い手毬状になった紫陽花ではないでしょうか?これは、日本原産の紫陽花がヨーロッパに持ち込まれて品種改良されたものが逆輸入で日本に入り、普及したものだといわれています。とても興味深いですよね。ちなみに万葉集や古今和歌集など、古い歌に登場するものは石木花でも取り扱っているヤマアジサイ(ガクアジサイ)なのだとか。

    手毬状の紫陽花は、花全てが装飾花になりますが、ヤマアジサイはがくと呼ばれる部分だけが装飾花で、中心は小さな花であるという違いがあります。それぞれに良さがありますので、見かけた際はその違いを観察してみるのも面白そうです。
  • 万葉集にも登場する紫陽花

    冒頭の句は万葉集にて橘諸兄が官人の慶事の席で詠んだ和歌。「紫陽花の 八重咲く如く 八つ代にを いませわが背子 見つつ偲わぬ」現代語訳すると、「紫陽花の花が八重に咲くように、あなた様も八代も永くお元気であられるよう、紫陽花の花を見てお祈り申し上げます」という意味。

    花に例えて祝辞を述べる、気品ある歌です。
ヤマアジサイの詳しいお手入れ

花が咲いてからのお手入れ

山紫陽花の花は5月中旬~6月上旬から咲き始め、約1カ月ほど楽しめます。

花の終わりの見極め方は簡単で、お花の一番外側の「装飾花」という部分がひっくり返ると見頃を終えます。見頃を終えたら出来るだけ早めに剪定(カット)します。そうすることで大きくなりすぎるのを防いで樹形をキープし、翌年も花を咲かせやすくなります。

剪定する位置は、花から数えて3~4節下の葉を残して剪定します。(今年伸びた枝は青く、去年伸びた枝は木質化して茶色くなっているはずです。木質化した枝から1節上の葉を残して剪定するイメージです)

剪定したヤマアジサイ(山紫陽花)は、全逓のボリュームが元の6割くらいになると思います。ちょっと寂しいかもしれませんがご安心ください。夏には新芽が出てきて、また元のボリュームに戻ります。そして枝先に翌年の花芽が形成されます。

ヤマアジサイ(山紫陽花)に適した用土

花の色が土壌のPh(ペーハー)によって変化します。

青系の花の場合は、酸性土壌に調整します。赤玉・鹿沼土・ピートモスを混用したものを使用します。

【石木花の土:酸性】 が適合します。

赤系の場合は、中性またはややアルカリ性に調整します。赤玉・腐葉土を混用したものをしようします。

【石木花の土】が適合します。

植え替え

植え替えは約2~3年に1回を目安に行います。時期は3月~4月中か、9月が適期です。植え替え後はあまり暑くなったり乾燥したりしないように注意が必要です。いつも以上に気を配りましょう。

何年も植え替えしないと根詰まりして具合が悪くなります。

ヤマアジサイ(山紫陽花)育成のポイント

◯自生地は山野の川沿いや谷など水の豊富な所です。水切れには注意しましょう。冬の休眠期も、水切れさせないよう注意します。

◯基本的に明るい日陰や半日陰の、風通りのいい場所で育成します。

◯朝に水をやっても夕方乾いてしまうようなら置き場所を工夫し、できるだけ涼しいところで管理しましょう。腰水も有効な方法です。

◯暑い時期、乾きやすい場合は1cm程度水を張って腰水にします。腰水は、深水にしないようにしましょう。夏は水温が上がるので、こまめに水を入れ替えます。

◯肥料は定期的に与えましょう。花付き・生育が良くなります。

◯花後の剪定は忘れずに行いましょう。

◯冬はしっかり休眠させてあげましょう。

◯特に屋内管理の場合は日照や風通しの条件が悪くなりやすいため、活性剤を定期的に与えることでより健やかに育成できます。

肥料・活性剤