ヤマドウタン|石木花図鑑

山越えて
遠津の浜の
岩つつじ
わが来るまでに
含(ふふ)みてあり待て

- 万葉集 -

ヤマドウタン

自然のアートとも言うべき美しい樹木。
「ドウタン」は枝の出方が昔の灯台(ともし火)の脚に似ていることから付いた名前とされています。繊細な枝が織り成す樹形は作為的なものではなく、長い年月の中で生まれます。枝先の小さな葉は夏には涼やかで、秋には美しい紅葉で目を楽しませてくれます。また、非常にゆっくり生長するという性質のため、現在の姿になるまではとても長い時間を生きています。言い換えれば今の姿を長く楽しむことができるので初心者向けとも言えます。
ヤマドウタンの育て方

置き場所

屋外の場合

基本的に風通しのいい明るい日陰や、半日陰での管理が適します。春先は優しい日に当て、日差しが強くなってくる5月ごろから半日陰に移します。

「春・秋」

優しい日当たりと風通しの良い環境で育成します。特に春は新芽が芽吹く大切な時期。強い日差しに当てすぎると葉焼けのリスクがありますが、あまりに日陰では弱々しい葉になりますので注意しましょう。半日陰(午前中は日の当たる場所)が適します。

「夏」

風通しのよい半日陰または明るい日陰で管理します。強い直射日光や西日は葉焼けや急激な水切れの原因になるので避けましょう。よしずや遮光ネットなどを用いて日陰をつくるのもオススメです。

「冬」

自然界と同様に、しっかり冬を体験させる必要があります。屋外管理で問題ありませんが、寒風や霜からは保護しましょう。ムロや半屋内(寒い場所)などで管理することをオススメします。なお、落葉後は日光に当たらなくても特に問題ありません。

屋内の場合

屋内で管理する場合、風通しの確保が重要になります。たまに外の空気に当てたり、雨に当てたりしてあげると植物はリフレッシュできて元気に育ちます。

エアコンの風邪 が直接当たる場所や、直射日光が長時間当たるなど極度に気温の上がる場所は避けましょう。

「春・秋」

風通しの良い窓辺などが最適です。

「夏」

優しい日差しが入るような、風通しのよい場所で管理します。夏の強い直射日光は葉焼けの原因になるので、レースのカーテンなどで遮光してあげると良いでしょう。また、しめきった部屋では蒸れて痛んでしまう可能性がありますので、できるだけ風を通してあげると植物に優しい環境になります。

北側の窓辺なども適しています。

「冬」

5℃以下の環境で冬を体験させる必要があります。少なくとも11月~2月の間は屋外に近い環境で育成しましょう。ヤマドウタンは落葉樹なので、寒さを体験すると紅葉し、そのあと葉を落とします。落葉後は日光が当たらない環境でも問題ありませんので、寒い場所で管理しましょう。

→植物の冬越しについて

水やり

水やりの目安は、春秋は1~2日に1回、夏は1日1~2回、冬は3~4日に1回です。特に夏場の水不足は葉焼けの原因となりますので美しい紅葉のためにも夏の水やりには気を配りましょう。また、暑い時期の葉水は、葉の乾燥防止や健康維持に効果的です。夕方に霧吹きやジョウロで葉水を与えましょう。

→みずやりのタイミング

肥料

芽だし後、葉が固まる5月頃と、暑さが和らぐ9月頃、週1回を目安に液肥を与えます。より健やかに育成するために肥料は効果的です。

※バイオゴールドヴィコント564を基準にしています。その他の肥料を与える場合は説明書などを参考にしてください。

病害虫

病害虫はほとんどつきませんが、念のためこまめにチェックしておきましょう。

 

ヤマドウタンの詳しいお手入れ

ヤマドウタンに適した用土

基本的には赤玉土を主体に砂を2~3割混ぜた混合土を使用します。

「石木花の土」が適合します。

植え替え

ヤマドウタンの植え替えの時期は2~3月。落葉している状態で行います。また暑さが弱まる秋も適期です。3~4年おきを目安に行うといいでしょう。

種まき

ヤマドウタンの種子を採取したら、用土の上に適当な間隔をあけてまきます。用土は赤玉土単用(1~3㎜の小粒)などでも可能です。種をまいた後は乾燥しないよう、常に用土が湿っているように注意してください。発芽は3月下旬から4月にかけてなので、その時期に合わせて種をまくといいでしょう。

ヤマドウタンの育成のポイント

○植物に四季を体感させてあげることで末永く健康的に育成できます。特に冬はしっかり休ませてあげましょう。

○鮮やかに紅葉させるには、夏場の管理が重要です。夏は直射日光を避けた、明るい日陰や半日陰で管理します。よしず等で日陰を作るのもいいでしょう。

○暑い時期は朝や夕方に葉水をするのも大変効果的です。

○屋内管理の時間が長いと、徐々に元気がなくなってしまいます。できるだけ自然の風に当てて育てるよう心がけましょう。雨の日は外に出して雨に当ててあげたり、夜は夜露に当てたりするとリフレッシュできます。

○活性剤を定期的に与えることで、より健やかに育成できます。

→肥料・活性剤

枝先に5~6枚の葉を付けます。
秋には美しい紅葉が楽しめます。
春、つりがね状の白い花を咲かせます。
花後に実がなります。
播種して増やすのも楽しいかもしれません。
耐寒性
水やり
日光
肥料